京都府で「点検商法」の相談が1年で2.1倍(112件→236件)。国が実名公表している訪問販売への行政処分304件を全部数えると、61%が住まいの話で、最多は屋根、給湯器は26件でした。手口の型と、玄関先での断り方をまとめました。
「ガス会社の方から来ました。給湯器の点検です」「近くで工事をしていたら、お宅の屋根が浮いているのが見えました」—— こんな訪問を受けたことはありませんか。ご本人だけでなく、離れて暮らす親のところに来ていないかが心配な方も多いと思います。
京都府の消費生活相談窓口では、こうした「点検商法」の相談が1年で112件から236件へ、2.1倍に増えました (令和6年度)。府は概要の中で「給湯器に関する点検商法が急増」とはっきり書いています。 全国でも、ガス瞬間湯沸器の相談は前年の2.2倍(1,225件→2,684件)です(PIO-NET 2024年度)。
このページでは、国が実名で公表している訪問販売への行政処分304件を全部数えて、 「どんな商品で、どんな手口が処分されているのか」を整理しました。読み終わる頃には、 玄関先で何と言えばいいかが分かるはずです。
特定商取引法に基づく行政処分のうち、現在公表されている訪問販売への処分は304件(国と都道府県の合計・おおむね直近5年分)。 このうち住まいに関する処分が184件=61%を占めます。内訳(重複あり):
| 商品・工事 | 処分件数 |
|---|---|
| 屋根工事 | 78件(最多) |
| 塗装工事 | 31件 |
| 給湯器 | 26件 |
| 外壁工事 | 25件 |
| 排水管・洗浄 | 17件 |
| 床下工事 | 12件 |
184件のうち119件は「業務停止命令」「業務禁止命令」という重い処分です。 布団でも健康食品でもなく、訪問販売のトラブルの主戦場はいま「住まい」、 その中でも屋根と給湯器です。
なぜ屋根と給湯器なのか。どちらも住んでいる本人が自分の目で確かめられないからです。 屋根は上れませんし、給湯器の中は開けられません。「壊れています」と言われたら、 信じるかどうかしかなくなる——そこが狙われています。
京都府が公表している実例を要約します。
「ガスの点検です」と電話があり、訪問を受けた70歳代の女性。業者は 「排気ガスが通常値の数倍で危険」と検査結果らしき数字を示し、その場で 給湯器の交換を約30万円で契約させました。あとで契約中のガス会社に確認すると 「そのような社名は知らない」——ガス会社とは無関係の業者でした。
手口には型があります。
| 段階 | やること |
|---|---|
| ① 入口 | 「無料点検」「近くで工事中」「ガス会社の方から」など、売り込みに見えない入口で玄関を開けさせる |
| ② 不安 | 屋根の写真や測定値らしき数字を見せて「このままでは危険」と不安にさせる(写真が別の家のものだった例もあります) |
| ③ 即決 | 「今日契約すれば値引き」「今なら足場代が無料」と、その場で決めさせる |
処分理由として多いのもこの型どおりで、「勧誘目的の不明示」(点検と言って売りに来る)、 「不実告知」(壊れていないのに壊れていると言う)が並びます。
覚えることは3つだけです。
①「点検はお願いしていません」で閉める。本当にガス会社や市の点検なら、 事前に書面で知らせが来ます。予告なしの点検は、それだけで疑って構いません。
② その場で契約しない・屋根に上らせない。「家族に相談します」で必ず一晩置く。 一度上らせると「壊れている写真」を作れてしまいます。
③ 社名と名刺をもらって、あとで確かめる。本当に工事が必要なら、 別の会社にも見積を取ればいいだけです。急がせる理由は、売る側にしかありません。
もし契約してしまっても、訪問販売は契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフ (無条件解約)ができます。迷ったら消費者ホットライン「188(いやや)」に電話すると、 最寄りの消費生活センターにつながります。
全国の統計では、70歳以上の相談の42.5%は本人ではなく家族などからの相談です。 つまり、被害の入口に気づくのは本人より家族ということです。
帰省したときに、この3つだけ見てください。
✔ 玄関や冷蔵庫に見慣れない業者のマグネットや名刺がないか
✔ 最近「点検に来た人がいた」と言っていないか
✔ 屋根・外壁・給湯器の工事の契約書や領収書が増えていないか
「点検の人が来ても、その場で決めんと私に電話して」——この一言を伝えておくだけで、 ②の「不安にさせる」と③の「即決させる」が両方効かなくなります。
「いま来ている業者が信用できるか分からない」「親が契約しそうになっている」—— そんなときは、社名を送ってください。建設業の許可の有無・行政処分の記録・公共工事の実績を 公開データで照合して、分かったことをそのままお返しします(無料です。 本業は建設会社向けのデータの仕事なので、個人の方に売る商品がありません)。